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奇妙なおじさん

2019.07.27

微弱ながらも出し始めた電波が、面白い人を繋いでくれる。
紙芝居口演後の真っ赤な夕焼けが沈もうとする時間。 水あめを買いに来るお客さん。
座り込みお客さんと語る時間。
絵のない紙芝居を語り合う時間。
この時間が好き。この時間が好き。

去年の11月、お世話になっていた ほったらかし温泉からの縁でつながった愛知県名古屋市での口演。
フラメンコな人達が集まる会場。
フラミンゴと勘違いしてた。 
おヘソ見たかったのに。
フラメンコを情熱的に踊る人、曲に向けて、客席の皆、「俺ー!」 「オレーっ!」と自己主張してる。 スペイン人に負けず、日本人も情熱的でありたい。
「カフェオレー!」 とか言ってみよかと思ったけど、滑るのも傷つくのも、もう嫌だから飲み込んだ。

この人達の後、僕の紙芝居。
すごく異次元な世界、舞台。またしても場違いを感じるが、生き方選び、その道進む。それなら僕にも出来る。出来ている。

さっきまで舞台の上、情熱的に素敵に踊っていた人が、紙芝居見る席ではガッカリするくらい子どもになってて残念だけど、ちゃんと紙芝居出来た。

紙芝居口演中、僕の右足側は死角になる。
こちらから、少し見え辛いポジションになる。
そこに座る奇妙なおじさんがずっと気になった。遠慮して控え目にしてるようだが、それが余計に薄気味悪く。

口演後、皆で食事をする。
他にもお客さんたくさんいるのなら他の人選べばいいのに、僕はその薄気味おじさんと一緒に来てる様子の一派と話し込む。
その一派の人達もまた違う匂いを出している。
そのおじさんは僕と同じ作務衣は茶色。
そして僕と同じ髪型。
そのおじさん、そこでも控え目に言葉数少なく。
他のお客さんと話してる隙にそのおじさん一派は消えていた。

名古屋なら日帰りでも帰れる。
外に出るとすっかり夜。帰り支度。 自転車にETCはついている。

帰る道と逆に僕はそのおじさんの後をつけることにした。
おじさんと繋がる電話。
「やめておけ!」 脳が言うけど、このソワソワはドキドキなのか、ワクワクなのか心臓が落ち着かない。 心が言うことを聞かない。
今回のご縁。 わらしべ長者みたいなものを感じていた。 間違いない。 この変な人がそうだ。
「すみません。 今日泊めてください。」

その夜、僕は知多半島の人里離れた所にあるコンテナハウスにいた。 そのコンテナハウスはその一派のお姉さんの住処。 
奥に座らされたもんだから、逃げることもできない。 後悔してももう遅い。
その後、連れらて行った先は、そのおじさん宅。 そのおじさんの名は 夢さん。
なんの工夫もない直球でダイレクトな名前だけど、僕の心をつかみ、そして僕にとって そのものな人。
大して飲めないお酒飲みながら、たくさんを語った。 全て吸い込まれ飲み込まれるようで、怖くてなんだか心地良くて。
そして、夢さんの物語を聞かせてくれた。

もしかして、この人は僕の未来なのだろうか?
全て夢だったのか。
朝目がさめると夢さんは夢でなくちゃんとそこにいた。
近くの海に連れて行ってくれて、クルーザーに乗せてくれた。
まだ寒く、風は強く、少しだいぶ酔ったけど、ほんの少しだけ握らせてくれたハンドル。大きな海と大きな空に、より自由を感じた。

7月頭、また名古屋に仕事。
名古屋行きを4日前に伝えたのに、夢さんが知多半島に紙芝居の舞台を用意してくれた。
面白いの向こうにはまた面白いがいて、そこはブランコの家。
人の笑顔がこれからもっと集まる家。
夢を縮ませることなく、膨らませ続ける人の家。
口演後、炎を囲んで、お酒を飲んで、語り、歌を聴く。 
普通の人には相手にされない僕が、ここ変な人達の輪の中では、普通になれる。

ただいまって言わせてもらい、勝手に冷蔵庫漁れる場所がもう一つ出来た。
梅雨明けて、入道雲出るこ頃また来よう。

梅雨明け待てず、今、台風の中、知多半島向かう道中。
今日から3日間、知多半島のあちこちで紙芝居。 
雨ニモ風ニモ負ケズ紙芝居。
勇気出して踏み出して、登った山の向こうに見える景色を楽しみに行って参ります。

あ、今日、師匠ヤッサンの誕生日だ。
んで、ぼんまるの誕生日だ。

だんまるのFacebookより)


#知多半島