「NO WAR ウクライナに平和な日常を!」
立命館大学国際平和ミュージアムに招かれる。
ウクライナから避難された方たちへ心を寄せて、ウクライナの音楽を聴きながら、つかの間、笑顔になっていただければ」との趣旨。
第一部、ウクライナの民族楽器・バンドウーラ奏者のカテリーナさんの透明で力のこもった美しい歌声。 透明で力のこもった美しい歌声。
やべ。これキャラかぶった。
そこで今回はいつもと趣向を変えて紙芝居をすることに。
これしか出来ない。
「なぜウクライナ支援イベントで紙芝居?」
そんな声も聞こえていた。
京都国際マンガミュージアム、清水寺。
海外の方、多く来る京都の地で紙芝居。
その中でたくさんの海外の人達と紙芝居で向き合って来た。
最大15ヵ国。 言葉など通じない。
だけど、絵で伝わる“絵会話”。
「アハハハ」「イヒヒヒ」「ウフフフ」「エヘヘヘ」「オホホホ」 笑い方は様々。中にはもっと変な笑い方。その変な笑い方に笑うから膨らむ笑顔。 笑顔様々。だけど伝わる笑会話。
小さな紙芝居の窓に肩寄あい笑い合う世界平和がそこにある。
国のトップや、誰か任せでなく、誰か頼りでなく、誰かのせいでなく、歌で、絵で、香りで、味で、柔らかなぬくもりで、そして紙芝居でつくる世界平和がある。
幼い頃、読んで聞かせてもらった絵本。 手袋。 冬の寒い雪の積もる夜。 落ちていた手袋に、カエルとネズミとウサギとキツネとオオカミとイノシシとクマが肩寄あいぬくもりを分かち合う。
少しおっかない絵で、なんとも不思議で、何度も読んでと、せがんだ物語。
小さな手袋にそんなに入れるのかな。
オオカミ、みんな食べちゃわないかな。
冬眠し損ねたクマっておっかない。
子どもの頃、何かおかしい、とても不思議に思ったのはそれらもきっと理由だ。
そこに、「ワンワンワン」
落とし主と飼い犬がやって来て、みんな逃げて行ったとさ。 そんなお話。
大人になって、今度は自分で読んでみた。
うん。やっぱり絵はおっかなく、そして不思議でわけわかんない。
そして、知らなかった。
これウクライナのお話なんだ。
あの後、せっかく一つになった動物達はバラバラに。
ぬくもった身体はきっと、また寒さに震えるだろけど、そう都合よく落ちてない手袋。
バラバラになった動物達はあの後、どうなったんだろう。
読んで聞かせてもらった物語の続きは、きっと皆の心の中で作るのだ。 たぶんきっと絶対、それぞれの結末がある。
雪の上じゃ自慢の足、上手く跳べないウサギ。
「ガサっ」
背後に聞こえる足音。 自分と同じ獣の匂い、振り返るとそこには、 オオカミ。
ウサギはいったいどうなってしまうんだろう。
僕は四人兄弟。 いつも、なかなか眠れなく寝るのはいつも最後。
絵本の物語の続きが、これからの自分の物語が、気になり考え出したら眠れない。
死んだらどうなるんだろう?
もし、家族が死んでしまったら?
もし、自分が死んでしまったら、皆はきっと悲しむだろな。 そんなことを考えてたらもう眠れやしない。
答えのない答え追いかけても辿り着けない。
それなら、いっそ眠る前は難しいこと考えずに楽しいことだけ考えて、眠ってしまおう。
さあ決めてから、布団の中、僕は妄想族となって自由に眠る前の夢を駆け巡る。
大人になって再会した絵本、手袋。
冬の雪の夜。 再び会ったウサギとオオカミは。
物語の終わりはきっと、そうだ。
「あの手袋の中の温もりが忘れられず、手袋なくても、きっとみんなで肩寄せ合って、炎の灯りと皆の笑顔に照らし照らされて、寒い夜を越えましたとさ」
これだ。
あれ?動物って、炎、ダメじゃなかったっけ?
まぁ、いいや。これでしっくり眠れる。
うん。 紙芝居で作る世界平輪。
たぶんきっと必ずある。