一日一便。
父は一日一便、恩師と呼ぶ人に葉書を書いていた。
行く先々、遠距離を行く高速道路、車を途中で停めてサービスエリアでも。
病院のベッドの上でも。
その数、二千通。
父はとってもヘビーストーカーだ。
僕も真似して、想い伝えたい人に葉書を何枚も描いた。
自分の想いどれだけ続くかなって、独りよがりに相手の迷惑もかえりみず描いた。
想い伝わる人、縁繋がる人もいれば、そうでない人も。 ごめんなさい。
紙芝居屋の僕でも耳にしたことあるSNS。
一点集中、効率悪く生きてきたけど、ここになら、僅かの人にでも、父が残せる、二度死なない。
寝て見る夢、起きて見る夢。どちらも聞いてる方はわけわかんなく退屈だけど、一人でだけでなくたまには誰かとも夢見たい夢。
一日一便。
独りよがりにここに描き残しておこう。
便通悪く、たまに描けぬ日もあるけど、後から追いかけて、お通じ良くして、ぬくもり思い出してブリブリ筆を動かす。
誰かに届くなら、また父の話が出来る。
父が生きる。 甦える。
そして、僕にも聞かせてもらいたい物語。
最近、少し便秘気味。
だから、今夜もブリブリ筆を握る。
紙芝居屋の子どもとして育った景色、紙芝居屋の窓から見る景色。 これならいくらでも描ける。
日々生まれてく。 残していきたい。