口演ご依頼、お問合せ

歩成物語

2020.03.30

山梨の山の中にいた頃。小銭集めて、これなら一杯飲みに行けると山を下りる。山の上から見下ろす夜景。その中でも一番明るく熱く輝く場所を目がけて。

生ビールとホルモン焼き。もっともっと食べたいけど、財布が許してくれず。だけどこれだけで十分。本当はもっと食べたいけど。10数年前、初めて山梨を地を訪れ父とふらりと入ったお店。のれんをくぐると、活気に満ち溢れている。最初はたまたま入ったお店。他に見当たらなかったから入ったお店。だけど、あれから何年経っても、この店がホルモン焼きが恋しくなる。他のも美味しいんだけど。

山梨の山。大阪から追いかけて来た友人と山仕事終え、火を焚きバーベキューもご馳走だけど、山から下りてすぐの店に連れて行くのも僕のおもてなし。幼い頃から同じ夢追いかけて来たつもりの大阪の仲間と呼んだ友人達が山に来なくなって一人になっても、少し財布が膨らんだら月に一度は山から下りて一人でも乾杯。ポケット、ジャラジャラ言わせて、一人のつもりのカウンター、隣に座るおば、、お姉さん達と仲良くなって、「これも美味しいのよ」と一口分けてくれる。

反対隣のおじさんは、ビールばっか飲んでねぇでと、日本酒を注いでくれる。山梨の郷土料理ほうとうも食べたいけど、これたのんじゃうとおなかいっぱい、財布ゲッソリしちゃうから、たのめずにいたけど、この日初めて食べた小鉢に少し分けてくれたほうとうは、美味しくて、あったかくて、忘れられない味。ぬくもり。舌もお腹も身体も心もあったかい。

一人の席だったはずが、知らなかった人に包まれて美味しくて楽しい席になる。
知らぬ人達が一緒に肩寄せ合い笑い合う光景。これこそが僕が紙芝居で作りたい世界。今、あの味が恋しい。あの温もりが恋しい。

天災なのか、病災なのか、人災なのか、得体の知れない病が今、世界を脅かしている。人と人との輪が剥がされていくようだ。ここ数年、毎年囁かれる異常気象。ゆっくりじっくりしっかり、人も世界もおかしくなっていく。異星人、地底人、幽霊、サンタクロース、人面犬、エリマキトカゲetc。どれもこれも、僕はいないだなんて思わない。信じてる。けどきっとこの世界の偉い人がその事実を伝えたら、世界はえらいことになってしまうと内緒にする気持ちもわからなくもない。そのついでに、されてるような気がする情報操作。そんなのはもういいから、誰かのせいでなく、自分の人生、自分が主人公。今この大変を乗り切りたい。ってずっと思って来たけど、組まれた薪がバラバラにされたようで、燃える炎を消されるようで。いつかまた肩寄あって燃えれるように、消されぬように一本でもちゃんと熱く燃えていたい。今こそ、自分に何が出来るか、もう一度自分に向き合いたい。

三月いっぱいは紙芝居口演はお休み。1週間以上紙芝居しなかったのなんて初めて。僕の紙芝居はいっぱい唾飛ぶから、そりゃやっちゃダメだ。だから今のうちに出来ることを。やりたかったことを。
また肩寄あえる日を楽しみに。